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「土佐本山コンパクトフォレスト構想」の経緯とこれから

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「土佐本山コンパクトフォレスト構想」のはじまり

「土佐本山コンパクトフォレスト構想」は、2021年6月、「本山町森林・林業ビジョン策定委員会」の設置に合わせ、キックオフミーティングが開催されたところから始まります。

もちろん、この以前から本山町の約9割を占める森林が担う役割は大きく、先人が築き上げてきた様々な取組や、全国に誇れる林業・木材業の歴史も残っており、関係者が誇れる地域でもありました。

しかし、時代の変化の中で全国的には2019年に森林環境譲与税の創設及び森林経営管理法が施行され、2020年からはパリ協定を受け、カーボンニュートラルに向けた動きも活発になり、自治体には、以前にもまして住民のニーズに沿いながらも持続可能な社会経済に向けた地域独自の積極的な取り組みが求められるようになりました。

そこで、林業事業者をはじめとした各産業主体や住民が参画し、本町の森づくりに関する施策や関連する取り組みを計画的・総合的に実施することにより、森林の持つ多面的機能を発揮し次世代への引継ぎ、森林による地域づくりを図るための指針を立てることになりました。

10代から80代まで、
世代も経験も多様なメンバー構成で進められた7回の委員会

「本山町森林・林業ビジョン策定委員会」の設置に際しては、委員会メンバーの構成からこだわりました。町の関係者からは、「これからの森林・林業は業界関係者だけで作るものではないのではないか。観光・商工といった街づくりに関係する方々にも関わってもらい、一緒に作り上げることが大事だろう」「林業の時間軸は長い、今植えた木が建築材として使われるのは数十年後。その頃には私たちは引退している。今考えたことを実際にカタチとして見ることができる若者の意見を積極的に入れようではないか」というお声もあり、本山町内の森林・林業関係者のみならず、商工・観光関係者、嶺北高校生にも委員会に参加していただきました。

キックオフミーティング後は、7回の委員会を実施しましたが、

高知・嶺北地域・本山町の「好き」なところと「誇り」に思えるところ、

ビジョンをつくり解決していきたいこと・達成したいこと、

思い描く未来の本山町・森の姿、

本山町の森林・林業における「強み」「弱み」「機会」「脅威」の整理、

重点的な目標と基本的な施策の設定など、

計7回の委員会にて議論を重ね、時には会議室を飛び出し皆で森に入り、林業の現場を訪れ、価値・体験の共有をすることで互いの理解を高めながら丁寧に作り上げ、委員会設置から約1年となる2022年4月に策定・公開したのが、この「土佐本山コンパクトフォレスト構想」となります。

「委員会での意見交換の様子」(左)と「委員会メンバーによる町内事業者の林業現場視察」(右)

構想策定から間もなく3年を迎える今と、これから

2022年の構想策定から間もなく3年を迎えます。策定委員会は「なないろの森推進委員会」となり、構想策定後も関係者との協議と連携を継続し、これまで着実に構想実現に向けた取組を進めてきました。その中で当時設定したKPI(目標)を順調に達成できている部分、まだまだ今後注力が必要だと考えられる部分が浮き彫りになってきた3年間でもありました。

また、構想に直接関係する町民の皆さんをはじめ、関係者には冊子配布や町内広報による活動紹介、イベント実施、SNS発信等により認知を広げてきましたが、改めてこれまでとこれからの活動の積み重ねを記録する場、さらに本構想に係る取組を全国へと広く発信する場としてついにWEBも公開するに至りました。全国にこの取組に共感・応援をいただける方を増やし、「なないろの森」に多様な関わりを生み出していければと思います。

これからも、どうぞよろしくお願いします。

「委員会メンバーによる八反奈路登山の風景」(左)と「城山(童心の森)整備体験時の集合写真」(右)