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童心の森モデル林 「城山の森」整備計画が完成!

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土佐本山コンパクトフォレスト構想の理念である「なないろの森」のひとつに、「童心の森」があります。人が遊び学ぶ空間としての森という方針です。人工林の多い本山町において、木材生産だけでなく、町民や観光客に利用されるような森も作っていこうということをイメージしています。

その童心の森のモデル林として挙がっているのが、本山町中心地の南部に位置する町有林「城山の森」です。構想策定当時からこの森の整備に関しては意見が多く出ていたこともあり、令和6年度に具体的な整備計画策定作業を行いました。今回は「城山の森」とはどのような森か、その整備計画策定に向けた検討過程と、その計画の内容をご紹介します。

1.城山の森とは

城山の森は、本山町中心市街地の南側に位置する町有林です。面積は約12ha、東京ドーム2.5個分にあたる広さです。

「城山」と呼ばれる通り、城山の森の西端には本山町の史跡である「本山城跡」が位置しています。戦国時代に土佐で活躍した領主本山氏の本拠地がここ本山城でした。

また、城山の森の北側、森の入り口にあたるところには庁の有形文化財である「十二所神社」や、土佐の偉人のひとり「野中兼山」が開発した本山上井(うわゆ)が位置するなど、周辺環境を含めて文化的にも非常に重要なエリアです。

google map で城山の森の位置を確認する

森の状態を見てみると、基本的にはスギやヒノキの人工林が生育しています。口述しますが、その人工林の下層には広葉樹が植栽されています。

また、本山城跡の周辺やエリア東側(南山公園と呼ばれる)場所にも広葉樹が植栽されています。特に本山城跡近くにはオンツツジが群生しており、4月末ごろには真っ赤なツツジの花が楽しめます。また、シャクナゲも複数の品種のものが植えられています。

エリア内には約1.2km程度の散策路が設置されており、全体を周遊できるようになっています。しかし、6年前の豪雨時に、数カ所壊れてしまっている場所があり、この散策路の復旧も急務となっています。

文化的な意味でも町において重要なエリアであると同時に、中心地の裏山で歩いてすぐ行ける森として、今でも散歩に訪れる町民がいます。そんな生活にほど近い森としてこの城山の森は存在しています。

ただ、近年は必ずしもきちんと整備がされてきたわけではありません。多様な広葉樹が生育したり、里山の珍しい植生がある森林ですが、森の変化によってその状況も徐々に悪化してきていました。また、散策路も壊れたままになり、通行には危険を伴います。

さらに、住宅地の裏山ということもあり、保安林や砂防指定地など、複数の災害に関する指定を受けている森でもあります。今後の整備については、こうした防災の観点も重要になります。

2.これまでの整備内容

城山の森の過去の整備に関しては、記録に残っているものとして2000年前後の「生活環境保全林整備事業」があります。これは高知県の事業として、1997年~2004年にかけて行われました。

この事業では、伐採、植栽、散策路の整備などが行われています。上述した人工林の下層に生育している広葉樹(カエデ、ヒメシャラ、シャクナゲなど)もこの頃に植栽されています。

また、エリア南部の人工林は2020年に間伐作業が行われましたが、その際に散策路の一部を広げてトラックが通行できる状態に改良されています。

約20年ほど前に、伐採と植栽が行われていますが、その後植栽木に対する手入れは行われておらず、当時間伐された人工林も成長して全体的に暗くなっていました。このままではせっかく植栽された広葉樹も大きく育ってくれませんので、林分状況の改善、木を伐って明るくする必要があります。

3.整備計画の検討内容

「土佐本山コンパクトフォレスト構想」を推進するために、2022年度からは「本山町なないろの森推進委員会」が設置され、委員の皆さんと議論を重ねています。その委員会の活動の中で、2023年には城山の森を訪れ、現状の確認を行いました。

また、2023年にはフォレスター・ギャザリングという全国の林業技術者が集まるイベントの開催地に本山町が選ばれ、その議論のテーマとして城山の森を取り上げていただきました。

そういう関係者や技術者との議論の中で、城山の森の強みや弱みなどが整理されました。これらで出た意見は整備計画検討の中でも大いに役立ちました。

そうして2024年度には、よりコアなメンバーで整備計画を検討するため、なないろの森推進委員会の分科会である「城山の森整備計画検討分科会」を設置しました。

分科会の中で、改めて城山の森に求めることや整備方針、コンセプトなどを話し合いました。

話し合いの中では、過去の取組みや昔から通っているから分かること、歴史的な側面などこれまで分からなかった話も聞くことができました。

4.城山の森整備計画について

そうした議論の末に、城山の森整備計画ができました。

コンセプトと方針

ゾーニング

城山の森を7つのエリアに区分けして、それぞれの整備方針を設定しました。

5年間実施計画

これから5年間かけて、この計画に則り整備作業を進めていきます。

すでに今年度は、散策路の修繕に向けて、設計調査が行われています。

今後は整備作業を進めていくと同時に、城山の森をどう活用していくか、どう住民に楽しんでもらえるかも検討、試行していきたいと考えています。